もくじ• カゼインプラスチック 牛乳にはカゼインというたんぱく質の一種が含まれており、酸性の物質を加えることで液体と固形物とに分離されます。 この時に抽出される固形物から カゼインプラスチックという素材を作りだすことができます。 カゼインプラスチックは、様々な物の素材として利用されています。 印鑑(いんかん) カゼインプラスチックはよく磨くことによって艶(ツヤ)が出るので、象牙の印鑑のような質感に仕上がります。 ただしカゼインプラスチックは本物の象牙に比べると耐久性が低いという欠点があります。 そのため実印としてカゼインプラスチック製の印鑑が使われることは少ないですが、 一般的なご家庭の印鑑として多く出回っています。 麻雀牌(まーじゃんぱい) カゼインプラスチックは手触りも良く光沢が出やすいこともありますが、染色性が高く鮮やかな色が出しやすいため麻雀牌の素材によく合うことから、日本の麻雀牌では尿素を省いたユリア樹脂の麻雀牌もしくは カゼインプラスチック製が主流となっています。 ピアノの鍵盤(けんばん) なんと、ピアノの鍵盤にも牛乳を原料としたカゼインプラスチックが使われています。 ピアノの鍵盤といえば、手触りや光沢が麻雀牌にも似ていますので、 カゼインプラスチックが合うのは頷けますね。 カゼインプラスチックは弾性(外からの力によって変形した物体が、元の形にもどろうとする性質)が硬いことも特徴のひとつであり、ピアノの鍵盤のように頻繁に衝撃が加わるものに相性が良いです。 牛乳から服の繊維も?! ドイツのファッションデザイナーで科学者の「 Anke Domaske」さんは学生時代に微生物学を学び、牛乳・お茶・コーヒー豆を使って服を作る「Grow Your Own Clothes(あなたの服を育てる)」というプロジェクトを発表しました。 そして「 QMilch」という会社を設立し、牛乳から作ったプロミックスという繊維を開発しました。 牛乳に含まれるカゼインという成分を粉末状にしたカゼインパウダーと、その他の天然成分を織り交ぜて糸状の繊維にして作られます。 この牛乳繊維でドレスを1着を作るのに 約6リットルの牛乳が必要で、150ユーロ(約2万円)のコストがかかるそうです。 シルクのような手触りで着心地が良く、シルクよりも安価であり、繊維に含まれるたんぱく質・アミノ酸は抗菌性が高く、皮膚の状態に合わせて体温調整をする働きを持っており、アンチエイジング効果もあるとされています。 今後もますます発展していく技術 牛乳から色々なものが作ることができるとは驚きですね。 今後もこういった研究から牛乳の新たな使い道が生まれていくことでしょう。 これからの技術の進歩に期待です!.
次のカゼインプラスチックといいます。 続いて牛乳からプラスチックのスプーンを作ってヨーグルトを食べてみます。 材料と必要な物は以下になります。 レモン汁、または酢• 牛乳を温める鍋• ふきん• ボウル• 電子レンジ• フタ付きの耐熱食器• キッチンペーパー、またはろ紙など吸水できるもの。 牛乳から作り出すプラスチックはカゼインプラスチックというもので、牛乳に含まれるタンパク質から作られます。 普通のプラスチックは土に埋めてもそのままですが、これは生分解性プラスチックと言って微生物により分解されて土に返ります。 とってもエコなプラスチック。 工業的にはホルムアルデヒドを使って作られます。 しかし、加熱でも同様の作用を与えることができるので、家に有る物で作ることができます。 では、早速作っていきましょう。 沸騰すると吹きこぼれてくるので注意。 酢でもいいですが、匂いがキツイ。 まず牛乳を沸騰するぐらいまで加熱します。 加熱したら牛乳にレモン汁を徐々に加えます。 するとモヤモヤとした固形物が浮いてきますのでレモン汁を入れるのを止めてそれを集めます。 ふきんで漉します。 いわゆるカッテージチーズの出来上がり。 分離された液体は乳清(ホエー)と言われもの。 カルシウムなど多く含み食べられますが、レモン汁や酢を加えているので香りが味がキツイです。 ふきんで漉して固形物を集めます。 この固形物の多くがカゼインタンパク質。 まずはこの状態で軽く絞って水気を切ります。 これがプラスチックになります。 水を替えて3、4回洗浄。 続いて集めたものを水で洗います。 これで集めたカゼインタンパク質に混ざっている水溶性物質を洗い流します。 洗ったらよく絞って脱水です。 紙粘土のように見えなくもない。 集めたカゼインタンパク質は成形後更に水を抜いていきます。 オーブンシートなどを敷いたまな板で行うと裏返す時に便利です。 スプーンの形状に成形。 スプーンというよりヘラぐらいの厚みと大きさ。 ここで出来るだけ脱水することが成功の秘訣。 脱水はキッチンペーパーなどを使って入念に行いましょう。 この時しっかり押して十分な圧力をかけます。 ここで脱水が足りないとうまく固まりません。 成形と脱水が済んだら最後の過熱工程です。 形は悪いがスプーンです。 加熱は電子レンジで行います。 固めたものを耐熱食器に入れてフタをして1分づつ加熱。 様子を観察しながら加熱します。 かなり熱くなるのでやけどに注意してください。 加熱1分。 加熱2分。 まだフカフカしています。 加熱3分。 ここで一度裏返す。 加熱4分。 部分的に硬くなってきました。 重合反応というものが起きているそうです。 加熱5分。 ほぼ全体的に固まっています。 残念ながら私は機械系の学部出身で重合が何なのか細かく聞かれても困ります。 加熱6分。 全体が硬く固まりました。 完成です。 ちなみに、卒業論文のテーマは振動搬送に関して。 化学は一切関係無し。 全体が硬くなり、フタに水滴が付かなくなってきたら完成です。 見た目よりも軽く、ちょっとパンのような香りがします。 しかし、手触りはまぎれもなくプラスチック。 では出来たての牛乳スプーン(?)でヨーグルトを食べてみましょう。 体温ヨーグルトと牛乳スプーン。 変な匂いはしませんよ。 ちゃんとすくえます。 スプーンは全く問題なく利用できます。 折れたり、こぼれたりすることなく、強度は十分。 味も全く問題なし。 旨い! 体温ヨーグルトも問題なく出来上がっていました。 若干スプーンが大きく厚みがあって食べづらいけれども、そのあたりは手作りということで大目に見ます。 いずれにしろ、食べる物も食べる道具も牛乳から作ることができました。 まだ間に合うぞ! 牛乳からプラスチックのスプーンを作る製作時間はおよそ1時間でした。 ヨーグルトと合わせても半日あれば実施可能です。 残り2週間あれば十分実施してまとめる事ができます。 最後の追い込みは牛乳でどうでしょう? ちなみに、牛乳から作るプラスチックは成形する形を変えれば色々なものが作れます。 また着色も出来るので、ちょっとした小物を作ってみるなんてのでもいいでしょう。 実は、スプーン以外に皿を作ることにも挑戦したのですが、過熱の際に縮むので上手く皿の形にならず、ただの丸い板になってしまいました。 複雑な形は向いてないようです。 この中にニセモノのソフトサラダがあります。 どれでしょう? 皿のつもりが食品サンプルになってしまいました。 Ad by DailyPortalZ.
次の食品を保存したり、レンジで温めたりするとき、食品用ラップは大変便利ですが、便利であるがゆえに、毎日のように廃棄されています。 そのため、食品用ラップは世界中で問題視されている、プラスチックによる海洋汚染の原因の一つになっています。 しかし、そんなプラスチックによる海洋汚染を削減できるかもしれない、食品用ラップが開発されていると、注目を集めています。 プラスチックによる海洋汚染を、大きく削減するかもしれない食品用ラップとは、いったいどんなものなのでしょうか。 廃プラによる海洋汚染を解決? 食べられるラップ 今、この世界では、捨てられたプラスチックによる自然環境の汚染が問題視されています。 これまでに世界中で生産されたプラスチックの量は、約83億トンと考えられ、そのうちの63億トンがゴミとして廃棄されています。 廃棄されたプラスチックの内訳は、焼却処分されたものが12%、リサイクルされたものが9%、埋め立てられたか自然環境に散乱したものは、79%と言われています。 自然環境に散乱したプラスチックは、さまざまな問題の原因となっていますが、中でも有名なのが海洋汚染です。 そして、海に流れたプラスチックを、クジラやカメなどの海洋生物が誤飲してしまうことで、命を落としていることも、大きな問題として注目されています。 しかし、プラスチックによる被害は、海洋生物だけとは限りません。 プラスチックには、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)などの種類があり、これらは有害化学物質である残留性有機汚染物質を吸着することで知られています。 残留性有機汚染物質は生物の脂に溶け込みやすい特徴があり、波や紫外線によって細かくなったプラスチックを食べてしまった海洋生物の体内に濃縮されます。 その状態の海洋生物を食べた人間にも、害を及ぼす恐れがある、と言われているのです。 私たちが使う食品用ラップもポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンの一種であり、さらにプラスチックのゴミの中でも、リサイクルが難しいと言われています。 なぜなら、薄くて柔らかいことから処理用の機械を詰まらせてしまう、汚れている場合は処理コストがかかる、などの理由があるからです。 そのため、食品用ラップは海洋汚染を悪化させる、大きな要因とも言えるのです。 この状況を解決すべく、新たに開発されている食品用ラップがあります。 そのラップの特徴とは...... なんと、食べられる、ということなのです。 食べられるラップをご紹介 プラスチックによる海洋汚染を削減できるかもしれない、食べられるラップとは、どのように作られているのでしょうか。 アメリカ、ポーランド、インドネシアで開発されている食べられるラップをご紹介します。 牛乳のたんぱく質で作られたラップ(アメリカ) アメリカでは、牛乳に含まれるたんぱく質「カゼイン」で作られたラップが開発されています。 カゼインで作られたラップは味がありませんが、そのまま食べることもできますし、生物分解性も高いため埋め立てれば、土に還ります。 食品鮮度を保てるかどうか、という部分に関しては、石油由来の食品用ラップの500倍も酸素を通しにくい性質があるため、十分だと言えます。 さらに「ペクチン」という柑橘類の物質を添加することで、湿度と温度にも強い作りになっています。 2016年の時点で3年以内に実用化を目指していたため、商品化される日は近いかもしれません。 余った野菜から作られたラップ(ポーランド) 捨てられるはずの余った野菜を原料とした食品用ラップを開発したのはポーランド。 これは「SCOBY」という商品名で既に販売されています。 柔らかく破れにくいだけでなく、水にも強いことから、水分を含んだ商品も包むことができます。 こちらの食品用ラップは「MakeGrowLab」の販売サイトから購入が可能です。 海藻から作られたラップ(インドネシア) インドネシアは豊富に採れる「海苔」を使用し、食べられる包装紙「エボウエア」を開発しました。 見た目はプラスチックとしか思えず、さらに文字を印刷することもできるため、お菓子の包装紙として既に実用化されています。 食べられる上に、生物分解性も高いのですが、一つだけ難点が。 それは水分に弱いことで、水分を含む食品の保存が苦手ということです。 まずはラップ使用削減を心がけよう このような食べられるラップが一般化すれば、世界で問題となっている廃プラスチックの量が、大きく削減されるかもしれません。 しかし、食べられるラップが一般化する前から、私たちの意識によっては、食品用ラップによる廃プラスチックを削減できるかもしれません。 食べ残しを出さないようにする、ラップ以外のもので食品を保存する、など少し意識をするだけでも食品用ラップを使わずに済むはずです。 ぜひ、次にラップを手にしたときは、一度立ち止まってから考えてみてください。 元記事は• 文 ゆみくろ Web: \ さっそくアクションしよう /.
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